視覚科学　　　錯視　　　数理モデリング　　　数学　　　科学技術　　　視覚情報処理　　　さきがけ研究								1/4ページ
(独)科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業個人型研究さきがけ JST 数学領域 数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索						数学と科学技術の諸分野の融合的研究と，新たなイノベーション創出を目指すさきがけプロジェクトです．
視覚と錯視のさきがけ研究紹介
			(独)科学技術振興機構 さきがけ研究者 東京大学大学院数理科学研究科 教授
			新 井 仁 之
	視覚の研究は，脳の解明にもつながる現代科学の最も重要なテーマの一つです．私は科学技術振興機構のさきがけ研究員として，脳内の視覚情報処理とそれが引きおこす錯覚のメカニズムを数学的に解明することを目指しています．そのために新しい数学的方法も開発しています．これは視覚科学，脳科学，知覚心理学，神経科学，数理科学の融合的な研究です．
	具体的には
	私たちがものを見るメカニズムはどのようになっているのか？
	どうして脳は視覚の錯覚を起こしてしまうのか？
	などの解明を主軸として，JST数学領域の「さきがけ」で研究しています．
	はじめに視覚が起こす錯覚の話から始めましょう．視覚が起こす錯覚のことを錯視といいます．たとえば次の文字列をご覧ください．
		ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏
		ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏
		夏ワナー夏ワナー夏ワナー夏ワナー夏ワナー
		夏ワナー夏ワナー夏ワナー夏ワナー夏ワナー
	この文字列，傾いて見えませんか？でもじつは傾いていません．傾いて見えるのは目の錯覚，より正しくは脳の錯覚によるものです．
	もっと別のタイプの錯視もあります．次をご覧ください．
	白い道の十字路のところに，薄黒いスポットが見えませんか？
	実はうす黒いスポットはありません．それが見えるのは錯覚です．これはヘルマン格子錯視と呼ばれているものです．
	次の錯視は私たちが作成したフラクタル螺旋錯視と呼ばれている渦巻き錯視の一種です．
	青い小さいな島がうず巻いて配列されているように見えます．しかし実際は，同心円状に配列されているのです．
	この錯視は科学技術振興機構さきがけ，CRESTの数学領域のロゴマークにもなっています．
	他にももっといろいろな種類の錯視があります．じつは，視覚の研究では，こういった錯視に関する研究がたいへん重要な役割を果たします．なぜ重要なのでしょう．次にそれを述べていきたいと思います．
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	JST数学領域さきがけでの私の研究について詳しく紹介しています．
	JST数学領域「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」のさきがけについては最後の頁を参照してください．
	数学領域のロゴマークには，上記のフラクタル螺旋錯視が使われています．
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