新井仁之の錯視科学館  展示 No. B-1  
            展示日 2010/4/30 
                   
  いろいろな古典的錯視 - その 1 -   
  錯視として良く知られている図形を解説付きで紹介します.   
       
                   
 
図版作製 新井しのぶ

                   
ヘルマン格子錯視   Ludimar Hermann (1838/10/31-1914/6/5) というドイツの生理学者により発見された錯視図形です.白い道の交差点に薄黒い斑点のようなものが見えますが,それは錯覚で,実際には存在しません.この錯視の原因は,網膜細胞の側抑制によるものというBaumgartnerの説などがあります.しかし,最近では網膜以降の脳内の視覚情報処理も関係しているということ証拠があがってきました.新井(2005)は,V1野の非線形数理モデルを提唱し,これらの証拠のいくつかを実際に統一的に計算機シミュレーションすることに成功しました. 
   
   
   
                   
マッハの帯  この錯視は,オーストリアの物理学者で哲学者の Ernst Mach (1838/2/18-1916/2/19) により発見された錯視です.白い帯の縁がより白く光ったように見えるという錯視です. 黒い部分にもより黒くなるという反対の錯視が起こっています. これも上記の新井(2005)の非線形数理モデルにより計算機シミュレーションできました.
   
   
                   
シェブルール錯視  異なる輝度のいくつかの帯からなってます.ただし一つの帯は一様に同じ輝度を持ってます.しかし,たとえば左から3番目の帯を見てください.帯の右側は明るく,左側に行くほど暗くなっているように見えます.特に右側の境目は少し光っているようにも見えます.これは錯覚によるものです.シェブルール(1786/8/31-1889/4/9)はフランスの化学者で,ゴブラン織りの工場の研究所長のようなことをしていました.この錯視も上記の新井(2005)の非線形数理モデルにより計算機シミュレーションすることができます..    
   
   
   
                   
カフェウォール錯視  Gregory と Heard が 1979年に発表した錯視図形で,イギリスのカフェの壁にこのデザインがあったことからカフェウォール錯視と呼ばれています.水平方向に非常に細い帯が何本か走ってます.これらは傾いているように見えませんか?しかしそれは錯視で実際は平行になってます.傾き錯視と呼ばれているものです.ミュンスターベルグ錯視と似た錯視です.GregoryとHeardはこの錯視に関連していくつかの興味深い現象を発見しましたが,新井(2005)はそれを数理モデルにより数学的に説明することに成功しました.詳しくは「さきがけ研究紹介」をご覧ください.   
   
   
   
                   
フレーザーの渦巻き錯視  J. Fraser が 1908年に発表した錯視.黒と白が捩じれてできた紐が渦巻いているように見えるが,実際は同心円上に並んでいる.かなり強い錯視である.最近,新井・新井はフラクタル図形を用いて渦巻き錯視の一種を作成した.  
   
                   
明暗の対比錯視  二つの大きな正方形の中に小さな正方形がひとつずつ配置されています.この二つの小さいほうの正方形は実は同じ輝度を持っています.しかし,右側の方が左側より明るく見えと思います.この錯視を利用した錯視デザインが錯視デザイン(1)にありますのでご覧ください.   
   
   

         
                   
      もしこのサイトを錯視の科学館の外部からご覧頂いている方は,錯視の科学館もご覧ください.     
           
                   
      本サイトの全部・一部の無断複製を禁止します.