数理視覚科学による研究成果 |
新井仁之の錯視科学館 展示 No. 1 |
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世界初.数学を使った錯視量の制御に成功! |
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東京大学 新井仁之 |
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新井・新井は単純かざぐるまフレームレットという数学的な道具と幾何的フィルタリングという新しい方法を考案し,それを用いて渦巻き錯視や双曲型錯視などの幾何的錯視の錯視量(つまり視覚の錯覚の量)を制御することに成功しました.単純かざぐるまフレームレットによる幾何的フィルタリングは,大脳皮質V4野における視覚情報処理と関連があるのではないかと考えています. |
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このような錯視量の制御は,心理学や計算による錯覚研究ではなく,数理視覚科学という視覚や錯覚を数学的方法で研究する分野で世界で初めて可能になったことです. |
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まずはフラクタル螺旋錯視から始めましょう.すでに「エントランス」でご説明したように,次の図は黒い島のようなものが渦巻いて配列されているように見えます.しかしそれは錯視で,実際は黒い島は同心円状に配列されています. |
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フラクタル螺旋錯視 (新井・新井 2007) |
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私たちの考案した単純かざぐるまフレームレットを使ってコンピュータにより画像を分解し,錯視を発生させていると考えられる部分を除去してみます.すると次のような結果が得られました. |
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錯視の除去 ©新井仁之・新井しのぶ, 2010. |
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錯視が消失しました! フラクタル螺旋錯視と似たような図ですが,こちらは島が同心円状に配列されていることがわかると思います. |
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フラクタル螺旋錯視を単純かざぐるまフレームレットで分解したときに発見したのですが,フラクタル螺旋錯視には,反時計まわりの渦巻き錯視が起こっているのにもかかわらず,時計回りの渦巻き成分も含まれていたのです. |
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これは一体どういうことでしょう. |
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私たちは次のような仮説を考えてみました.フラクタル螺旋錯視には反時計周りの錯視を打ち消そうとする時計回りの錯視成分も含まれているが,その成分が弱く,結局反時計回りの錯視が起こってしまうのではないか. |
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この仮説の真偽を見るために,反時計回りの成分を残し,時計回りの成分のみを抜いてみました.すると次のような結果が得られました. |
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錯視の強化 ©新井仁之・新井しのぶ 2010 |
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私たちはさらに,双曲型錯視でも錯視成分の除去などもしてみました.下の図の双曲型錯視は,北岡明佳先生のカメのデザインを用いて作った双曲型錯視で,水平・垂直及び対角の軸が反時計回りにずれて見えるというものです.詳しくは「双曲型錯視」のコーナーをご覧ください. |
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北岡氏のカメの錯視を使った双曲型錯視(新井・新井) ©Hitoshi Arai and Shinobu Arai 2010 |
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単純かざぐるまフレームレットと幾何的フィルタリングにより,錯視を起こすと考えられる成分のうち,水平・垂直軸がずれて見える錯視成分を除去してみると,次のようになりました. |
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カメの双曲型錯視の水平・垂直錯視成分の除去(新井・新井) ©Hitoshi Arai and Shinobu Arai 2010 |
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水平・垂直の軸のずれはなくなりましたが,対角軸は依然としてすれているように見えます. |
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単純かざぐるまフレームレットと幾何的フィルタリングにより,対角軸がずれて見える錯視成分を除去してみましょう. |
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カメの双曲型錯視の対角錯視成分の除去(新井・新井) ©Hitoshi Arai and Shinobu Arai 2010 |
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今度は対角軸のずれはなくなりましたが,水平・垂直軸のずれの錯視は残っています. |
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最後にすべての方向の錯視を除いてみましょう |
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カメの双曲型錯視の対角錯視成分の除去(新井・新井) ©Hitoshi Arai and Shinobu Arai 2010 |
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以上の結果は筆者の次の論文で得られたものです.詳細は下記の論文をご覧ください. |
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[1] Hitoshi Arai and Shinobu Arai, Framelet analysis of some geometrical
illusions, Japan J. Indust. Appl. Math. 27 (2010), pp.23-46. (pdfファイルダウンロード可) |
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